「Google Glass」――それはビッグブラザーか、ドラえもんか妄想ウェアラブルの午後

スマートフォンでできることをハンズフリーで、声だけで行うことができるメガネ型ウェアラブルの代名詞「Google Glass」。もしGoogle Glassがスマホに置き換わったとき、社会はどのように変わってしまうのだろう?

» 2015年01月05日 06時45分 公開
[宮本裕人,ITmedia]

連載:「妄想ウェアラブルの午後」とは

近年急速に普及し始めたウェアラブルデバイス。腕時計型やメガネ型などさまざまな種類が登場してきているが、それらが「人々の生活をどう変えるか」についてはまだまだ議論の余地が残されている。本連載では、製品のスペックや機能比較にとらわれず、ウェアラブルの正しい(?)未来を「妄想」することに全力を注ぐ。


グーグル「Google Glass」

 第2回「妄想ウェアラブルの午後」で取り上げるのは、グーグルのメガネ型ウェアラブルデバイス「Google Glass」。メール、電話、SNS、写真や動画、地図に天気、電車の乗り換えの確認……いま僕たちがスマートフォンを使ってやっていることをハンズフリーで、掛け声だけで行うことができるメガネ型ウェアラブルの代名詞だ。

 現在はアメリカとイギリスだけで販売され、価格は1500ドル(約17万円)。近い将来、日本での購入が可能になることは間違いないだろう。

動画が取得できませんでした

現在から最も近いディストピア

 いま多くの人が持ち歩いているスマートフォンがGoogle Glassに置き換わったとしたら、どのような未来が訪れるのだろう。

 まず最初に思い浮かぶのは、ジョージ・オーウェルの『1984年』のような、ビッグブラザーならぬ「Google Glass is watching you」の世界だ。Google Glassはスマホのように手に持って構えることなく、「Take a photo / Record a video」と言うだけで、あるいはウィンクをするだけで写真や動画を撮ることができてしまう。もし人々が当たり前のようにGoogle Glassを着けるようになれば、いつ、誰が、何を記録しているかを判別することは難しい。プライバシーなんてものはなくなってしまうだろう。

 人と人のリアルなコミュニケーションも減ってしまいそうである。いまでさえ電車に乗ると多くの人がスマホの画面に釘付けになっている姿を見るが、これがGoogle Glassに替わったら、人々はさらに自分だけの世界に没入することになるだろう。映画『her/世界でひとつの彼女』でちょうどそれと似たような、人々が耳に着けた機器で思い思いにOSとしゃべっているというシーンがあったが、そのディストピアは十分に想像できるものだった。

Google Glassを着けたらデートも楽しくなくなってしまいそう……

火星の様子をリアルタイムで

 なんだか暗い話になってきたので、物事の良い面にも目を向けてみよう。

 すでにスマホ社会でも起こりつつあるが、誰もが写真や動画で記録できるということは、事件や事故がその場に居あわせた人によって記録される可能性が高くなるということだ。いわゆる市民ジャーナリズムの可能性は、Google Glassの普及でさらに大きくなるだろう。「悪いことをしても誰かに見られているかもしれない」という心理がはたらくことで、犯罪自体が減るんじゃないかとも思う。

 またリアルなコミュニケーションが減るかもしれないと上では書いたが、Google Glassは同時に、ドラえもんのほんやくコンニャクのように今までコミュニケーションができなかった人と会話をすることを可能にするかもしれない。すでにGoogle Glassを使ったリアルタイム字幕翻訳アプリが開発されており、これから言葉の壁はより低くなっていく。あるいは犬や猫と話すことだってできるようになるかもしれない。

動画が取得できませんでした

 映画やドキュメンタリーといった芸術分野に関しても、Google Glassは新たな表現方法となる。自分以外の誰かの視点でその人の生活を覗くことができれば、それは究極の追体験になるからだ。メッシやコービーといった一流スポーツ選手の、宇宙飛行士の、アメリカ大統領の見ている世界がリアルタイムでUst配信されるなんてことも、近い将来可能になるかもしれない。それは感動をリアルタイムに、より多くの人に伝えるチャンネルとなる。

 インパクトが大きいだけに、それが悪用されたときのデメリットも、良く使われたときのメリットも大きいGoogle Glass。果たしてそれはビッグブラザーになってしまうのか、それともドラえもんになれるのか――テクノロジーの使い方を考える、良いきっかけになりそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  4. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  5. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」