妄想ウェアラブルの午後:ナイキ「FuelBand」――時間や空間を超えた“共通単位”は生まれるか?
“Fuel”というオリジナルの単位を使うことで、あらゆるアクティビティを測定することができる「Nike FuelBand」。Fuelが一般的に使われるようになった未来では、どのようなことが可能になるのだろう?
連載:「妄想ウェアラブルの午後」とは
近年急速に普及し始めたウェアラブルデバイス。腕時計型やメガネ型などさまざまな種類が登場してきているが、それらが「人々の生活をどう変えるか」についてはまだまだ議論の余地が残されている。本連載では、製品のスペックや機能比較にとらわれず、ウェアラブルの正しい(?)未来を「妄想」することに全力を注ぐ。
ナイキ「FuelBand」
記念すべき連載第1回で取り上げるのは、ナイキの腕時計型ウェアラブルデバイス「FuelBand」。腕に付けてボタンを押すだけで、消費カロリーや歩数、どれだけ活動したかを計測できる、いわゆる「活動量計」の一種だ。
特徴は、活動量を独自の単位“Fuel”として測定し、表示してくれること。価格は8999円で、ナイキの公式サイトなどから購入できる。
さっそく妄想してみた
- 距離や時間の概念が変わる?
- Fuel給の登場
- 「学生時代に最もFuelを獲得した経験を教えてください」
現在20種類以上が販売されている活動量計の世界。もしこの中から、FuelBandが“覇権”を握ったら。
Fuelは、世界中の人々が使うことのできる共通の活動単位になるかもしれない。
たとえばいま、ランニングを測定するのに使う単位は「距離」や「時間」が一般的だろう。でも距離の単位に日本人はkm(キロメートル)を使うのに対し、アメリカ人はmile(マイル)を使っている。1mileは1.60934kmだけれど、いちいち計算するよりもFuelを共通で使えば簡単に比較することができる。
時間はさらにやっかいだ。なぜならアインシュタインが証明したように、時間というのは進むスピードが変わるからである。将来、もし人類が『インターステラ―』みたいに時間のスピードが異なる惑星(1時間が7年に相当する星が出てくる)に住んだとしたら、あるいはドラゴンボールに出てくる「精神と時の部屋」が発明されたとしたら(こっちは1日が1年だ)、時間という単位はもはや共通のものさしではなくなってしまうかもしれない。でもFuelを使えば、宇宙に行っても精神と時の部屋のなかでも、アクティビティを共通の単位で測定することができるのである。
さらに時給や日給、年俸という考え方も「Fuel給」を導入することで、活動量に対して適切なお金が払われるようになるかも。「今日はよくFuelを稼いだな」と上司が飲みに連れて行ってくれたり、新卒採用では「学生時代に最もFuelを獲得した経験を教えてください」と面接で聞かれたりするかもしれない。きっと未来の本屋には、『なぜFuelを稼ぐ人はいつも同じ服を着ているのか』みたいな本が新書コーナーに置かれているに違いない。
そうすると次に登場してくるのは「Fuel泥棒」だろう。技術的な欠陥をついて、自分が稼いでもいないFuelをゲットしたり、あるいは他人のFuelを搾取するFuel詐欺が横行するかもしれない。Fuelが直接的に金銭に替えられるようになると、交換率の高い店、低い店などが出てきて、法外なレートで交換してくれる裏Fuelショップなども問題になるだろう。
現在、誰にとっても等しい単位である時間や空間が、Fuel(に限らない、何か別の単位)に取って代わられる未来。あなたにとってそれはユートピアだろうか、それともその反対のディストピアだろうか?
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