第5回 見えてきた「Apple Watch」でできること:“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)
Apple Watch向けのアプリケーションを開発するための「WatchKit」が公開され、Apple Watchでどんな機能が利用できるのか、具体的にどんな動きをするのかが少しずつ分かってきた。
Appleは予告していた通り、米国時間11月17日に、Apple Watch上のプログラムを開発できる「WatchKit」を公開した。開発環境のXcodeベータ版とApple WatchをサポートするiOS 8.2とともに、開発者向けのWebサイトで、説明資料や映像とともに紹介している。
現段階で公開されたものは、あくまでiPhoneと組み合わせて使うことが前提の機能となっており、Apple Watch単体で動作するアプリが開発できるようになるのは2015年以降とのことだ。
WatchKitで分かるApple Watchのシンプルさ
Apple Watch向けのアプリもMacやiPhoneのアプリを開発する際に利用するXcodeで作る。単純にApple Watchで文字を表示させようとする場合は、マウスのクリックだけで文字やボタンを並べるだけですむ。
また、既存のiPhoneアプリをApple Watchに対応させ、通知やちょっとしたアクションを受け付けることができる。こちらも、ゼロからアプリを作り直す必要なく、Apple Watchへ通知を送る仕組みが組み込める。すでにiPhone向けのアプリを開発している開発者にとっては、非常に取っつきやすい環境と位置づけることができる。
iPhoneと同様、タッチパネルディスプレイを中心としたデバイスにおいては、画面の中にさまざまなパーツを配置して、操作できる仕組みを作ることになる。配置できるのは、画像やアニメーション(ムービーは不可)、テキスト、地図、ボタン、ラベル、スライダー、スイッチなどの非常にシンプルなものだ。
これらを駆使して画面を構成する。その画面の画素数は42mmモデルで312×390ピクセル、38mmモデルで272×340ピクセル。Retinaディスプレイに対応しており、高解像度の画像を利用することを推奨している。また、スケーリングに対応し、複数の画面向けの表示を用意しなくても、大きなディスプレイでは大きく表示される、といった処理も期待できる。
Apple Watchには、加速度センサーや心拍センサーなどが備わっているが、現段階のWatchKitではこれらの情報を取得することはできないようで、基本的にiPhoneで得た情報を活用して表示する仕組みになっているようだ。これらのセンサーのデータについても、2015年のWatchKitのアップデートで実現できることになりそうだ。
「通知」から始まるApple Watchライフ
Apple Watchの操作は、積極的なものと受動的なものがある。前者は、Apple Watchそのものを、腕を傾けたり、アプリを起動してタッチパネルやデジタルクラウン(竜頭)、ボタンなどを指で操作するもの。後者はiPhoneやApple Watchのアプリから送られてくる通知などだ。
小さな画面に備わったインタフェースや操作方法は意外に多彩で、画面の上下、左右方向へのスワイプ、タップ、Force Touchと呼ばれる力をかけるタッチ、デジタルクラウンの回転と押し込みといった操作がアプリで利用でき、この方法はどのアプリにも共通だという。
iPhoneのアプリから派生して開発ができることになっているが、Apple Watchでは極力シンプルに、情報表示にフォーカスすることが求められる。
例えば、アプリ内で背景の壁紙を変えたり、ブランドロゴの透かしを入れるといったことは推奨されておらず、Apple Watchが用意したアイコン表示領域やテキスト、水平線、表といった、共通化されたパーツでの画面構成を求めている。
あくまで時計という位置づけを崩さないように、またシンプルな体験の範疇を超えないように、というAppleなりの「調整」をかけているような印象だ。この「調整」は、Apple Watchで作ることができる初期のアプリの仕様にも現れている。
腕を上げて画面を点灯させたときに、「1〜2秒ほど見て分かる情報」を、最も基本的な体験にしようとしている。まだ手元に実機がないので何とも言えないが、1〜2秒ということは、ほとんど見るだけという状態だ。スマートフォンで通知を受けると、派生する操作が伴うために30秒あるいはそれ以上の時間操作する事になるが、Apple Watch上ではまずは操作の部分を排除し、1〜2秒で済ませられる。
自分のスマートフォンがある生活に照らし合わせてみて、あるいは先週ご紹介したAndroid Wear搭載のLG G Watchを使っていて感じたことは、こうした通知をスマートウォッチが担ってくれることになれば、スマートフォンに触れる時間が圧倒的に減るということだ。
それだけ、一目見て「把握した」と納得する情報が、スマートフォンには非常に多く押し寄せてきていることの裏返し、とも言えるだろう。
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