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コラム

“あの数値”に注目して、日中を活発に過ごす睡眠と活動量計のいい関係(1/2 ページ)

睡眠は、時間よりも質が重要です。そして質のよい眠りには、適度な運動が必要です。睡眠の質を知り、最適な運動量を知るのに、脈拍計測機能付きの活動量計は非常に便利なのです。

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 昔、私がダイエット目的で通っていたサーキットトレーニングジムに、「ここに来るようになってからよく眠れるようになって嬉しいの」と喜ぶ年配の女性がいらっしゃいました。運動不足解消のために通い始めたそうですが、想定外の副産物だったようです。そこで行うのは、筋トレとダンス系のエクササイズが1分ごとに変わるトレーニングで、1周が11分程度。大抵は2周か3周するので、トータルで20〜30分程度の運動になります。

 その女性がとても嬉しそうだったのが印象的で覚えていたのですが、睡眠改善インストラクターの資格を取得したとき、その理由が分かりました。

 なかなか眠れないとき、どうしても眠るという行為そのものに意識を向けがちですが、実は食事習慣、運動習慣という2つの生活習慣が睡眠の質に大きく影響していたのです。特に、適度な運動習慣のある人ほど、中途覚醒しにくい、不眠になりにくいなど、よく眠れているという調査結果もあります。彼女の睡眠が改善されたのは、まさにセオリー通りだったというわけです。

 では、なぜ運動するとよく眠れるようになるのでしょうか。よく眠るとどんないいことがあるのでしょうか。

体温にメリハリがつくと眠りやすくなる

 実は眠りにはちゃんとした発生メカニズムがあり、その条件の1つが「体温の低下」です。体は睡眠に向かい始めると、深部体温を下げようとします。眠くなってきた赤ちゃんの手足が温かくなるというのも、手足がラジエーター代わりになって、毛細血管から放熱することで体温を下げているいるから。逆に、熱帯夜になかなか寝付けないのは、室温が高すぎてなかなか体温が下がらないからです。

 体温は常に一定というわけではなく、1日のうちでももっとも高い時間帯と、低い時間帯があります。心地よい眠りをもたらすためには、この体温変動にメリハリがあることが大切といわれています。つまり、日中の活動で体温を上げておくことが、よい眠りにつながるのです。前述の女性も、運動を始めたことで体温にメリハリができ、結果、気持ちよく眠れるようになったと考えられます。

 運動するために外出して太陽光を浴びることも、体内時計の調整によい影響を与えます。さらに、運動によって気分がすっきりすることは、それだけ寝付きのよさにもつながります。逆に、運動不足では睡眠の質も上がらないことが分かっています。

よく眠ると、本来のパフォーマンスを発揮しやすくなる!

 ここで、しっかり眠るとどんないいことがあるのか考えてみましょう。眠ることで以下の効果があります。

  • 日中ヒートアップした脳がクールダウンする。
  • 考え、判断、決定、行動などを司る脳の前頭連合野が休むことで、社会性や適切な判断力が発揮できる。
  • 自己肯定感が生まれ、意欲的に過ごせるようになる。
  • 記憶が整理される。
  • 免疫力が維持される。
  • ストレスに強くなる。
  • まとまった量の成長ホルモンが分泌され、組織が修復される(美肌にも!)。

 逆に睡眠不足が続くと問題が多発します。ここぞというときに適切な判断がしにくくなるだけでなく、とっさの判断も鈍りますから、交通事故などの重大な問題を起こしやすくなります。脳の免疫を司る部位が休めないことで免疫力も低下し、風邪を引きやすくなるなど、健康上の問題が起こりやすくなります。また、ネガティブ思考に陥りやすくなり、協調性が失われるなど、社会生活にも影響が生じます。2週間眠れないと、うつ病も心配されます。

 つまり、しっかり眠るということは、肉体、精神、すべての機能回復のために欠かせないものであり、自分が持つ本来のパフォーマンスを十分発揮するために大切なことなのです。

いい睡眠とは、その人が生き生きと過ごせる睡眠のこと

 ではいい睡眠とはどんなものでしょうか。よく「何時間眠ったらいい?」という話がありますが、長く寝ればいいというものでもありません。ベストな睡眠時間は年齢、性別含め、個人差があります。「○時間寝ていないから自分の睡眠はだめなのだ」と思うのではなく、質に着目してみてください。

  • 寝付きがいいこと
  • 中途覚醒がないこと
  • 目覚めがいいこと
  • 日中、作業に支障がでるほどの強い眠気を感じないこと
  • 意欲的に過ごせること

 これらを満たしていれば、それがその人にとってのいい睡眠と考えられています。

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