第7回 百花繚乱のフィットネスデバイスは、いかに生き残るか?:“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)
汎用化と専門化
バッテリーの充電頻度の高さは、身につけていない瞬間を作り出す。一方スマートフォンは、昨今バッテリーの持続時間も延びてきたが、日本だと外出先でも外部バッテリーで充電しながら持ち歩いて使うだろう。
その肌身離さず利用できるスマートフォンが、フィットネス系のデバイスの計測を肩代わりするようになったらどうだろう。
「Nike+ Move」や「Nike+ Run」、そしてFacebookに買収された「Moves」などは、スマートフォンの加速度センサーやGPSを使って、日々の活動量やジョギング、サイクリングなどのトラッキングができるアプリだ。また、Jawboneも、スマートフォンだけで計測ができるアプリをリリースしている。
しかしながらスマートフォンのセンサーで常に計測し続ければ、バッテリー消費も大きくなる。これを防ぐため、AppleはiPhone 5sからモーションコプロセッサを搭載し、センサーデータの処理にメインのプロセッサを利用しないことで、こうしたトラッキング系のアプリの電力消費を抑えることに成功している。
汎用デバイスであるスマートフォンとアプリによって、一般的な活動量・運動の計測ができるようになってくると、「スマートフォンでは出来ない計測」が、フィットネス系ウェアラブルデバイスの存在価値となってくる。
例えば、前述の通り、詳細な睡眠のトラッキングは、色々試した結果、まだUPを腕に巻いている方が詳細なデータが取れている。スマートフォンを体にくくりつけて寝るわけにもいかないため、リストバンド型が現実的な方法と言える。
また、より激しい運動や道具を使う運動の場合も、スマートフォンでの計測は難しい。筆者はテニスをやるが、ラケットに内蔵したセンサーやグリップエンドに装着する「Zepp Tennis」を試してみると、ラケットのスイングやラケット面に当たった位置などを分析してくれて、非常に練習がはかどった。
スマートフォンが一般的なデータ計測に対応していくのであれば、フィットネス系デバイスは、専門化に活路を見いだしていくことになるのではないだろうか。
スマホでもウェアラブルデバイスでもできないことの開拓へ
2年前にJawboneを取材した際、UPで計測できない健康に関する要素について、API公開をしながら外部のデータを取り込めるようにしていく戦略について触れていた。ここには、体重や心拍などのデータが含まれる。
そのなかでJawboneのチャレンジは、「食」だという。運動がアウトプット(代謝)の計測だとすれば、食べ物・飲み物の摂取は、カロリーや栄養のインプットだ。その結果が体重や健康状態などに反映されてくることになるが、食べ物の記録はなかなか骨の折れる作業だ。
UPのアプリでは、バーコードを読み込むことで、登録されている栄養価を登録することができる。しかし日本人の食生活だと、朝のシリアルぐらいしか正確な記録はできず、自炊の場合は同じようなメニューと分量から大まかに記録するしかない。しかも忙しい朝、食べ物の写真を撮って記録するのも忘れがちだ。
このあたりの問題解決はまだなされておらず、ウェアラブルデバイスで可能なのかも分からない。例えばリマインダーアプリで、入力を促すなどの通知の工夫から、試してみるとよいだろう。
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